HACCPを簡単に説明します

 
 

お昼ご飯にハンバーグとサラダを作るとします。材料は、合いびき肉、パン粉、きゅうり、レタス、トマトです。息子の友達が遊びに来ているので、ごちそうしてあげます。

食中毒を起こさないためには何に気をつけたらいいでしょう。「ハンバーグをよく焼く」「まな板や包丁、そして手をよく洗う」などなど。どう考えて、どんなふうしにたら、失敗なく調理できるでしょう?

HACCPのやり方はこうなります。

1  調理の流れを図にする

下のような図を作ります。これが計画を立てる基礎になります。



2  食品を安全でなくするもの(ハザード)が、どの材料、どの調理ステップから入り込むかを、材料、ステップをひとつずつ見ながら検討します。

• 生肉には、サルモネラやO157などの病原菌がついていることがある
• パン粉は、小麦アレルギーの人には毒物です
• 野菜の残留農薬も気になります
• パン粉は保管が悪いとカビが生えて、毒素が作られるかもしれない
• 肉を焼くまでの間に病原菌が増える可能性がある
• 人の手やまな板などを介して、O157やサルモネラがサラダを汚染するかもしれない(交差汚染)。肉の病原菌は焼けば殺せるけど、サラダでは殺すステップがない
• 焼き方が足りないと、病原菌を殺せないかもしれない
• 調理する人がノロウイルスに感染していると、食品が汚染されることがある

図に書き加えると次のようになります。


3 それぞれのハザードについて、それを管理するステップや方法を考えます。

• 生肉に病原菌がついていることは、覚悟しなければなりません。なので、しっかり焼くことで殺します
• 息子の友だちに「アレルギーある?」と聞いてみるのがいいでしょう
• 野菜は、信頼できるお店で買えば、問題はないでしょう
• パン粉は保管に気をつけて、使う前に点検しましょう
• 生肉を冷蔵庫から出して焼くまで手早く作業すれば、病原菌が危険なほど増えることありません
• サラダを作り終わってから肉に取り掛かれば、交差汚染は防げます。それができないのなら、サラダを作る前に手やまな板、包丁をよく洗って消毒してください
• 串を刺して透明な肉汁が出てくれば、中まで焼けています
• 腹痛があったり、下痢をしている時には調理しないようにしてください。そうも言っていられないときは、手をしっかり洗って、消毒してください


図は複雑になりましたが、「なーんだ」と思われるかもしれません。「いつも気をつけていることと、だいたい同じだ」という方も多いんじゃないでしょうか。HACCPはこんなもの、特別なものではありません。

HACCPの強みは、調理工程をステップに分けて1ステップごとに考えることで、ハザードの見落としをなくすことです。もう一つの強みは、工程全体を見ることで管理するのに最もいいステップ、方法を選べることです。原材料に入ってくる3つのハザードの管理の仕方が違っているのが、その例です。

20218/9/28