生牡蠣は安全か?

 
結論から始めます。それなりのリスクがあります。食べるのなら、覚悟をもって。

「ノロウイルスを含まない生牡蠣を提供する技術はない」と言わざるを得ません。確かに「生食用」というカキが販売されています。その脇にある「加熱用」とは、どう違うのでしょうか?

調べてみれば、ノロの汚染率は生食用の方が低いようですが、残念ながらゼロではありません。 カキは 河口近くで養殖することが多いのですが、川からヒトが排泄したノロが流れてきます。生食用として出荷する場合には、ノロウイルスがほとんどいないきれいな海域にいかだごと引っ張っていって、1日置いておいて、ウイルスが排出されるのを待ちます。しかし、実験によると数日かけてもウイルスを完璧に吐き出すには至りません。冬はこの排出が悪いそうです。

出荷するカキの一部を検査して、ノロウイルスが含まれていないことを確認している漁協もたくさんあります。しかし、カキひとつ一つの汚染はバラバラです。市販の1パックのカキから何粒かとって検査すると、一つだけ汚染されていることが多いようです。従って、一部をとって安心だったからと言って、残り全部も安心という保証にはなりません。

私も生牡蠣は好きですが、食べることを諦めてもう20年近くになります。なんとしても食べたい、というほど好きではないからでしょう。生卵、レバ刺し、鶏刺し、、昔から食べていたものでも、よく分かってみたら危険という食べ物がいくつかあります。「食」は文化です。文化はある意味で非合理的なもので、「うまい」という文化が、「危険」という合理性をしのいでもいいと思っています。しかし、老人では命取りになることもあります。食べた人は大丈夫でも、家族やお客さんに感染させる可能性もあります。食べるのなら、立場をわきまえた上で十分気を付けて下さい。飲食店、食品産業に勤める方、老人施設などで働く方が「自分は下痢くらい大丈夫」思って、生カキを食べることは犯罪的だと思います。

しかし、これはあくまで「生カキ」に関してだけであって、加熱すれば、危険はありません。ただし、サルモネラやO157よりも熱には多少強いようです。