HACCPとPCの違い

 

HACCPをもう一歩進めた予防コントロール(Preventive Controls, PC)とはどのようなものなのでしょう。ここでは加工食品を中心にした(動物用飼料などは含まない)PCHF(preventive controls for human food)についてお話します。農作物の栽培や出荷などでの安全性はまた別の条項になります。

私はhACCPに長年たずさわってきて、その有効性を高く評価しています。しかし、それなりの批判を持っていました。PCの内容を勉強してみると、その批判に応えていることに感心しました。HACCPの弱点を埋めているのです。

PCにはHACCPが(ごく僅かな変更を除いて)そのまま、プロセス・予防コントロールという呼び名で取り入れられています。すなわち、HACCP+アルファと言ってもいいと思います。そのアルファはなにかといえば、これまで前提条件プログラム(PRP)で管理していて失敗が多かったものに、HACCPのCCP管理なみの厳密さを要求したことです。

その3つとは、
1. アレルゲン・予防コントロール
    小麦、乳などのアレルギー原因物質の管理。

  1. 2.サニテーション・予防コントロール
    病原体の消毒やアレルゲンの除去。

  2. 3. サプライチェーン・予防コントロール
    原材料の供給者や製品の販売先と共同で行うハザードの管理。

この3つが深刻な被害の原因であることは、以前から認識されていました。しかしHACCPでは、「許容限界の設ける」「それが守られているかをモニタリングする」ことで安全計画を成り立たせています。しかし上の3つは深刻な事態が予想されるのに、許容限界を設定しづらいのです。モニタリングが難しいものもあります。という理由で、HACCPはこういったものの管理をPRPに丸投げしていたのです。PCではその丸投げをやめて、食品安全計画の中に取り込み、CCPなみに管理することにしたのです。

これに加えて、「予防」コントロールの名前からは少しずれますが、リコール計画(安全が保証できない製品を出荷してしまった時の対応)が義務となったことも、PCでの大きな追加です。

2017/12/11