PCでのハザード分析

 

ここまで読んでいただいて、予防コントロール(PC)で新しく導入された、アレルゲン、サニテーション、サプライチェーンの3つ予防コントロールを理解していただけたと思います。この3つの多くは、リスクが高いのにHACCP計画では前提条件プログラム(PRP)に任せていました。

当初HACCPは「起こりやすく、起きた時重大」なハザードを取り扱う、と単純に解説されていました。しかしアレルゲン、リステリア・モノサイトゲネスなどの「起こりやすく、起きた時重大」なのに、PRPでしか扱えないハザードが問題になっていました。HACCPを教える側としては、これが説明しづらかった。論理的でなかったのです。

そこで苦肉の策として、次のような説明がなされていました。PRPの役割は衛生管理などを徹底してHACCPで扱うハザードを起きにくい状況(Not Reasonably Likely to OccurNRLTO:合理的に考えて起こりえない)にすることであって、そうすればCCP管理が不要になる。持って回った分かりにくい説明です。しかし「起こりやすく、起きた時重大」なハザードはHACCPで取り扱う、と決めてしまった以上、このような言い方しかできなかったのです。これが論理性を欠いた理由です。

それに対してPCでは、ハザード分析で重大だと判定されたハザードに対しては、プロセスPC、アレルゲン、サニテーション、サプライチェーンのいずれかのPCで取り扱います。プロセスPCはこれまでのHACCPそのものです。ですので、ハザードが重大ならPCで取り扱う、と極めて単純な説明ですみます。そう決めてから、4つのPCのどれに該当するかを考えます。管理の対象となるハザードは増えましたが、理解は楽になりました。

HACCPとPCの2つの計画の違いを分かりやすく示しているのが下の図です。HACCPでは、ハザード分析の結果を適用するのは製造工程の管理だけでした。これに対してPCでは、アレルゲン、サニテーション、サプライチェーン。コントロールの中でハザード分析の結果、重大と判断された場合には、前提条件に任せずにPCで取り扱います。そして、リコール計画も含めるようになりました。




2018/7/13