HACCPは完璧を求めない

 
 

HACCPは完璧を求めない

HACCPが食品の安全を確保する最も優れた方法であるなら、完璧な食品がつくれるだろう、そう期待する人が多いでしょう。しかしHACCPは「ゼロ・リスク」を保証するものではありません。「完璧」はあまりに高いハードルであるため、すべきことが膨大で、実際にはやりきれません。「ここも大切、あそこも重要」と「完璧」を要求されると、やらされる方は「手抜き」をせざるを得なくなり、かえって大きな被害を招きます。日本では完璧を「建て前」として、現実に目をつむったため起きる失敗が多いように思います。HACCPは建て前ではなく、もれなく行う「ホンネ」なのです。 持っている時間、労力、資金には限りがあるのですから、それを知った上で、最大限有効に使うべきです。

そのためには、深刻な被害をもたらす「ハザード」を見きわめ、それを制御できる「必須管理点」に全力を注ぎます。ほかはもっと軽い管理方法で済ませてしまう。「起きる可能性は本当に小さい」「起きてしまっても被害はほとんどない」と考えれば、無視することもある。「完璧」は得られなくとも、HACCPによる管理が適切なら、食中毒を1/100、1/1000にすることは難しくありません。このような現実を知った「見切りのよさ」もHACCPの特徴です。