米の美味しさの評価方法に関する研究

お米の美味しさは、品種、産地、気象条件、栽培方法などによって変わります。美味しさの評価は、ヒトが試食して評価する「官能検査」と、物理化学的な測定に基づいて評価する「理化学的評価」とがあり、前者は基準的な方法ですが、国や地方、あるいは個人の嗜好によって変動するという問題があります。一方、後者は、同じ方法や装置を使用すれば、国や個人が異なっても普遍的な結果が得られるという長所がありますが、あくまで間接的な評価であり、これらの両方の評価が必要と考えられます。

当研究室では、米の食味に影響する成分(タンパク質やアミロース含量)の測定、米粉の糊化特性の評価、米飯物性(硬さや粘り)の測定、最近新たに開発したヨード呈色走査分析法などに基づく食味の評価方法の開発に取り組んでいます。

各種の米の美味しさの評価

世界には、長粒のインディカ米と中短粒のジャポニカ米があり、前者が多数派ですが、最近、中国を中心に、良食味のジャポニカ米の生産が増加しています。

また、国内でも、各種の良食味ブランド米が育成され、競争が激しくなっています。

当研究室では、生物的、物理的、化学的測定に基づいて、これらの各種の米の食味の評価に取り組んでいます。

米の加工・利用に関する研究

わが国の食料自給率は約39%と低く、自給的作物である稲・米の生産および消費を維持・拡大することで食料自給率を確保する必要があります。

当研究室では、米飯や米加工食品の新しい製造方法の開発や穀類食品による健康の維持増進に関する研究に取り組んでいます。

たとえば、高アミロース米やアミロペクチン長鎖型の超硬質米は、食後の血糖の上昇が緩やかで、肥満や糖尿病を予防できる可能性を示しました。また、色素米は、ポリフェノールを含み、抗酸化性による生活習慣病予防の可能性があります。現在、他大学や国公立研究機関、企業との共同研究により、機能性米加工食品の開発に取り組んでいます。